コラム

Column

後継者未定127万社の衝撃。社会問題化する後継者問題

2018.06.22

コラム

「大廃業時代の足音 中小『後継未定』127万社」の記事が、日本経済新聞(2017/10/6)の一面を飾りました。
「痛くない注射針」で世界的に有名な金属加工業の岡野工業(東京・売上8億)、84歳(当時)の岡野会長は
2年程度で廃業するといいます。
経営状態は良好でありながら、後継者不在により廃業せざるを得ない中小企業が社会問題化しつつあるという象徴的な出来事です。

この社会問題をどのように解決できるでしょうか。

ひとつの答えが、企業退職者による中小企業の買収。
それが、中小企業M&A支援センターが掲げる「退職金で会社を買おう。」という解決策です。

「中小企業の買収」「退職金で会社を買おう。」と言われても、ほとんどの会社員にとって考えてもみたことのない話でしょうから、
戸惑うのも当たり前です。

そこで、こんなストーリーを用意してみました。


売上7千万・社員数6名の会社を経営するオーナー社長の田中さんは御年75歳。
事業を引き継ぐ身内がいなかったため、第三者への譲渡を考えていた。
しかし、取引銀行やM&A仲介会社に相談するも、譲渡額3億円未満は相手にされませんでした。

※注)M&A仲介会社は、規模の小さい案件(=仲介手数料が少ない案件)を好みません。少なくとも3,000万円以上の手数料を求めています。会社が黒字でも手数料収入が得られない事業譲渡は、仲介会社だけでなく銀行にも敬遠されています。

 

そこで「退職金で会社を買おう。」という中小企業M&A支援センターに相談したところ、
同業種の大企業を退職する鈴木さんが退職金2,300万円を投じて譲り受けたいと名乗り出ました。

※注)大企業退職者の平均退職金は約2,300万円です。働く意欲も能力もある退職者は、給与が大幅に下がる再雇用以外の選択肢を求めています。

 

60歳の鈴木さんは、自ら会社の内容を精査した後、退職金で中小企業を買収します。
早速、大企業での経験を活かしたシステム投資で生産性の向上を見込んでいましたが、中小企業独特の商習慣や社風に戸惑い、
当初は思った通りには行きませんでした。
しかし、仲介会社から派遣された中小企業診断士による適切な助言によって、徐々に事業は順調に進み始めます。

※大企業と中小企業では、業務の進め方や人材に大きな違いがあります。様々な経営数値が簡単に手に入る大企業と違い、まだまだKKD(勘・経験・度胸)が大半です。だからこそ改善の余地があるのですが、最初は戸惑うことが多いでしょう。中小企業の実情をよく知る中小企業診断士がお役に立てることでしょう。

 

投資額は退職金2,300万円ですが、役員報酬は800万円に設定したので約3年で回収できる見込み。
鈴木さんは10年働いて70歳になった時には2,300万円以上で譲渡できるように、企業価値を高めていこうと考えています。

※自分で会社を所有することは、退職金の投資先としても非常に魅力的です。投下資金は3年で回収し、再度事業譲渡することも可能です。


・・・少しイメージできましたか?

退職金で会社を買おう。というのは突飛な発想に見えるかも知れませんが、
社長として本当にやりたい仕事を見つけることが出来れば、それは退職後の人生を豊かにしてくれるに違いありません。